初心者のためのFX取引初歩の6

今回はFX業者について説明します。
FX取引は、相対取引が多いですから、業者が取引相手です。
このため相場より業者の方が多大な影響があることもあります。
ですから、まずは、業者について知識を増やしていくことが大事です。

FX業者チェックのポイント

国内業者と海外業者の主な違い

色々あるFX業者を大別すると、国内業者と海外業者に分けられます。
両者を簡単に比較しますと、以下の表にまとめられます。

国内業者 海外業者
監督官庁 金融庁 各国の監督官庁
無免許の業者には注意
日本語対応 日本語対応 日本語対応業者も増加中。
そうでない場合は英語等対応
投資家保護
(資産保全)
顧客資産は信託銀行で保全 信託保全を謳っているところもあるが、大部分はそうした制度を持ち合わせていない
スプレッド 一般的に狭い 一般的に広い。
狭小スプレッドを提示するところは別途手数料あり
注文の受け方 DD方式(いわゆる店頭取引) NDD方式
レバレッジ 25倍 ~1000倍、それ以上
MT4 一般的には独自発注ツール使用
MT4対応業者も何社かあり
MT4対応業者が多い
日本円入金 当然可能 円で入金可能なところも増えているが、非対応なところもあるので業者毎に要チェック
追証 証拠金維持率が100%を切った場合に発生 なし。ただし、新規取引をする際には証拠金不足部分を入金する必要あり
強制ロスカット あり。通常は証拠金維持率が20%程度を切ると自動的にポジション解消される あり。通常は証拠金維持率が20%程度でポジション解消
ゼロカット なし。いわゆる借金リスクあり あり。仮にロスカットしてマイナスが残ってもゼロとされマイナス分の請求なし
利益に対する
税金関係
申告分離課税
(20.315%の一定税率)
雑所得として総合課税。
税率は累進税率。
大儲けすると税金支払いが大変なことに!
損失の課税関係 トータルで損失となり、申告すれば、3年間損益通算できる 当年だけ損益通算、次年度以降の繰越しはできない

スプレッドの注意点

BidとAskの差であるスプレッドは、一般的には国内業者の方が狭いです。
海外業者のスプレッドが広い理由に、MT4の使用料分が含まれているためと
言う人もいます。穿った見方ですが、単純に広いスプレッドじゃないと利益が
出ないビジネスモデルだからと見た方がいいんじゃないでしょうか。

海外業者は意外と規模も小さく、少ない社員でやっているところが多いです。
このため、できる限り広いスプレッドじゃないとやっていけないのです。
比喩的に言えば、メガバンクだと0.数%の小数点以下の利ザヤでも稼げるのに、
信金信組だと、2%以上の利ザヤが必要とか、そういったイメージ
じゃないかと思います。

また、海外業者の中でも狭いスプレッドを提示するところがあります。
そういった業者は別途手数料を取っています。従って、投資家にとっては
見た目ほどコストが低くはありません。加えて、業者の中には、
スワップ金利を調整し、顧客受け取りを少なく、顧客支払いを多くしたりします。
実質コストで見ると大きくなります。ランキングサイトでもこの点は見逃して、
単にスプレッドの差だけで比較したりしますが、扇情的比較ですね。

国内業者はスプレッドは小さいものの、後で述べます追証などでは
しっかり取ります。ポジションを強制ロスカットした場合でも、
損が残っている場合には客に借金リスクも負わせます。

つまり、スプレッドが小さいと言っても業者の方は手を変え品を変えて
客から収益を得ようとします。だから、一番スプレッドが小さいと言って
これだけの理由では選ばず、適度に小さく、その他の条件も悪くないというのを
選ぶべきです。

注文の受け方ーDD方式とNDD方式

業者の顧客からの注文の受け方には2通りあります。
一つはDD(Dealing Desk)方式と言って、業者自身が取引相手となる
方式です。これを相対取引あるいは店頭取引とも言います。
これだと業者がポジションを持つことになりリスクを負います。
国内業者は、殆どがこの方式をとっています。

もう一つはNDD(None Dealing Desk)方式と言って、顧客の注文を
直ぐインターバンク(金融機関の業者間取引)市場に流し、自らは
ポジションリスクを負わない方法です。海外業者はこのNDD方式を
謳うことが多いです。その方が顧客を多く集められるからです。
実態は、NDD方式とDD方式を混在させているところが多いようです。
DD方式だと、顧客の損は業者の利益ですから、往々にして業者の
利益チャンスが大きいからです。

だから顧客にとってメリット・デメリットは大差はないです。
それよりも約定率の方が大事です。こちらをチェックしましょう。
しかし、”商売は草の種”の例え通り、業者も色々対応しますから。
例えば、約定率を高くする反面、スリッページを大きくしたり。
ここでは話しませんが。

証拠金と証拠金維持率

FX取引では、株の買い付けのように取引の都度代金の受渡しをするのではなく、
取引をすると証拠金(担保)を要求され、決済すると損益は証拠金で清算され、
そのため証拠金が増減する取引です。これは業者との付き合いで、
1番と言っていいほど大事なことです。

証拠金維持率とは、有効証拠金(現金残とポジションの評価損益の合計)を
取引時の必要証拠金(取引金額÷レバレッジ)で割ったものを%表示したもの。
レバレッジが大きければ大きいほど必要証拠金が少なくなることが分かります。

簡単な計算例を示しますと、
レバレッジ25倍、取引当初は評価損益ゼロの仮定で、
証拠金に10万円入金し、ドル円を単価110円で1万通貨で取引すると、
証拠金維持率=100,000円÷(110円×10,000通貨÷25倍)=227.2%
という計算になります。

証拠金維持率が100%を切りますと、国内業者だと早急に100%を上回るよう
追加の証拠金(追証)を入金するように要求してきます。
厳しく取り立てられますから注意しましょう。経験的に言いますと、
追証になるようなポジションは失敗トレードですから損切した方が良いんですけどね。

利益を出した時の税率から見た有利不利

国内業者とのFX取引の税制面は優遇されている感じです。
申告分離税を選べば、20.315%の税率が適用されるだけです。
つまり、所得税、住民税そして復興税をすべて払い終えられるのです。

これに対し、外国業者を使った場合は雑所得で総合課税され、悲惨です。
累進税率が適用され、加えて住民税10%が上乗せになります。
ここでは細かなことは書きませんが、考え方はこうです。
課税所得(経費など差引いた課税対象の所得)が420万円前後で、
税率は10%程度になります。当然、住民税10%がありますから、
国内の申告分離税の税率に肉薄です。

ざっと計算したところ、課税所得が440万円~450万円で、
雑所得の総合課税税率+住民税率は、申告分離税率と同じになり、
それ以上儲けると税負担が増え、申告
分離税と比べて著しく不利になります
(お断り:税務の専門家ではありませんので、確認等お願いします)

海外業者を使いながら税負担を軽減する方法に法人化というのがあります。
ここでは、割愛させて頂きます。

初心者の業者選び

初心者は先ずデモ口座から始めるのがお勧めです。
国内外国の業者はデモ口座を用意しているところが殆どです。
これを利用しない手はないです。
更に、MT4対応の業者が良いと思います。
国内の大手業者はみな独自ツールですが、その際もMT4は
チャート用に使うのが良いです。

また、現金入金のリアル口座でも、小額ロットの取引ができる
業者が出てきていますがお勧めはしません。
例えば、単価110円のドル円を1,000ロット売買したとします。
想定元本は110×1,000=110,000。つまり想定元本11万円です。
1%変動して儲かっても、1,100円の儲けです。
最初は上手くいったと思うかもしれませんが、
現金を追加し、ロットを大きくすると途端に事情に対応できず失敗します。

本格的に始める時を予想して、デモ口座も同じ金額、取引ロットに
しておくのが良いでしょう。
その方が、デモといえども真剣みが増しますから。

少々蛇足ぽいお話を
〇国内業者の小さいレバレッジでも、儲けている人もいます。
YouTubeもやり、自らのトレードを動画にしているTrader Akiという人は、
5億とか6億円稼いだそうです。

〇海外業者を使って去年16億円稼いだ人もいます。
業界では話題になりました。この人はレバレッジ100倍位は使ってそうですね。
また、出金は毎週3,000万円づつしたとか。
一挙に大きな金額の出金だと、海外業者の場合抵抗されることも予想されます。
従って、小まめに出金するのが現実的にうまいやり方ですかね。

このシリーズはまだまだ続きます。

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