米中貿易戦争のFXへの影響

米中貿易戦争が始まって久しい。
最近、追加的関税の段階的部分的解除案が合意締結しそうな報道が出ています。
相場は既にこの動きを察知して噂の段階で動いた節もありますが、
基本的に合意が成立してもトレンド転換とはならないのではと考えます。

貿易戦争が終わっても中国は元に戻れない

ブルムバーグが7日に報道したところによれば、
米中が相互に賦課している追加関税を部分的に段階的に
撤回することで事務レベルで合意したととしています。
この合意に関し、両首脳が署名する場所は日取りは交渉中とのこと。


上のグラフは米国商務省発表のデータに基づく
米国から見た中国との輸出と輸入の推移を見たもの。
このところ輸入は激減しているが、輸入は少し影響を受けた程度。
トランプ大統領の目論んだことが上手くいったとい言う感じです。

これって、中国は中国にとって絶対必要なものを輸入しているが、
米国は安いから輸入していて、マーケットも高くなれば買わなくなる。
戦略的にみて、中国の方が弱みが大きいということですね。

現在既に安価な製品を作るのは中国ばかりでなく、
ベトナムやバングラデシュなどが生産を増やしています。
中国は既に世界の生産国としての地位が脅かされているんです。

中国も安物製造から脱却したいと考え、「中国製造2025」とか
掲げたけど今回の貿易戦争でさっさと瓦解してしまいました。
これってICなどの電子部品・製品が重点製品にしかったけど、
これが米国を怒らせた?

だいたい中国人というのは、自分で開発・製造しようとはせず、
先進国から技術を盗めばいいと考えている節がありますが、これじゃダメでしょ。
遠く昔、ZTEが米国のパッシングにあい、最近ではファーウェイが
叩かれている状態です。

また、米国シリコンバレーも中国人には警戒を始めたとか。
他では中国高官が韓国サムソンに頻りと詣でているとか。
新たな技術を盗むターゲットにしたんですかね。
過去に上手くいった方法といってもいつまでも上手くいくとは限りません。
とても高付加価値品の生産を増やすのは難しそうです。

結論とすれば、例え追加関税を引き下げたとしても、
中国は以前のような活気は取り戻せないというのが私の見方。
つまり覆水盆に返らずです。

引き続き対元でドル高基調

ドル元(USDCNH)は9月2日にピークを付けた後下げたが、月半ばに反発を開始し10月8日に直近ピークを付けた。
しかし高値更新とならず再び下落中。まだ200日移動平均線の上である。

つまり、直近はドル安元高の状況。
9月以降の動きはドル指数の動きと符合しています。
FX相場の要因としての米大統領のウクライナ疑惑を参照)
この場合ドルの影響力の方が大きいと見て、ドルに引っ張られたと
見た方が良いように思います。

もう一つは豪ドルの動きです。
オーストラリアは対中貿易が3割を超え、
中国の動向に大きく影響されます。

豪ドル米ドル(AUDUSD)の動きは9月初めと10月初めに谷となり、10月は総じて回復基調です。
戻しはまだ200日移動平均線を超えていない状況。

日足ベースのチャートでは、まだ豪ドルは200日移動平均線を
クロスしていないことから局面が変わったとは言いずらいです。

米中貿易戦争自体、相場関係者にはよく知られたことであり、
注意もされていることであり、相場にはかなり織り込まれていると
思われることから、今回の追加関税段階的部分的撤回では
トレンド転換にはならないと考えます。

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